基本情報技術者は取っても役に立たないと言われているけど本当かな?
意味ないなら勉強したくないんだけど…
取っても意味ない資格を勉強することほど意味のないことはないですよね。
今回はIT業界の登竜門的資格である基本情報技術者を取得するメリット等について、プロジェクトマネージャーをはじめ、各レベルの情報処理試験に合格した私が説明します。
基本情報技術者が意味ないと言われている理由3つ
基本情報技術者は経済産業省が主催する国家試験「情報処理技術者試験」の1区分です。
情報処理技術者試験の中では一番基礎的な試験にあたりますが、ITに関する幅広い分野の知識が問われるため、勉強時間は200時間程度と言われています。
情報系未経験者に取っては馴染みのない用語が多く出てくるため、初学者にとっては易しくない試験だと思います。
にもかかわらず、基本情報技術者が意味ないと言われているのはなぜでしょうか。
基本情報技術者を持っていても実務能力の証明にならないから
基本情報技術者試験のシラバスには、受験対象者像が以下のように書かれています。
IT を活用したサービス,製品,システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち,実践的な活用能力を身に付けた者
情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱Ver.5.0 2(3)
実践的な活用能力とはなんでしょうか。これについては、同シラバスの期待する技術水準を見ればイメージできます。
ITを活用した戦略の立案,システムの企画・要件定義,設計・開発・運用に関し,担当する活動に応じて次の知識・技能が要求される。
① IT 全般に関する基本的な事項を理解し,担当する活動に活用できる。
② 上位者の指導の下に,IT 戦略に関する予測・分析・評価に参加できる。
③ 上位者の指導の下に,システム又はサービスの提案活動に参加できる。
④ 上位者の指導の下に,システムの企画・要件定義に参加できる。
⑤ 上位者の指導の下に,情報セキュリティの確保を考慮して,システムの設計・ 開発・運用ができる。
⑥ 上位者の指導の下に,ソフトウェアを設計できる。
⑦ 上位者の方針を理解し,自らプログラムを作成できる。
情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱Ver.5.0 2(3)
なるほど、システム企画から開発、運用の全てのフェーズに関する知識と技能が求められるようです。また、⑤や⑥、⑦にソフトウェア設計やプログラム作成など実務的な内容もはいっています。
しかしながら、試験問題を見ていただければわかりますが、基本情報技術者試験は科目A試験と科目B試験で構成され、科目Aは60問(四肢択一)、科目Bは20問(多岐選択式)です。
そして、科目A・科目Bともに1,000点満点中600点以上を獲得することで試験合格となります。
このため、実務能力を測ることのできる試験となっていないので、合格していたとしても実務能力の証明にはならないのです。
基本情報技術者で得られる知識の幅が広く浅いから
基本情報技術者で得られる専門性はどれほどでしょうか。再度シラバスの業務と役割を見れば、どれくらいの専門性が求められるかわかります。
上位者の指導の下に,次のいずれかの役割を果たす。
①組織及び社会の課題に対する,ITを活用した戦略の立案,システムの企画・要件定義に参加する。
②システムの設計・開発,汎用製品の最適組合せ(インテグレーション)によって,利用者にとって価値の高いシステムを構築する。
③サービスの安定的な運用の実現に貢献する。
情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱Ver.5.0 2(3)
基本情報技術者で求められる役割は、「上位者の指導の下、職務をこなせる」ことです。
言い換えれば、上位者に当たる方の指導がないと職務がこなせないレベルです。
そのため、IT系では就職後3年目くらいの若手が取る人が多いと思います。
(2023年4月試験の合格者平均年齢も25.1歳と若い。)
とはいえ、システムの開発から運用に関わる一通りの内容が出題されるため、求められる知識の幅は広く、自分の担当する分野以外の内容だったり、興味のない分野も学ぶ必要があります。
これらのことから、基本情報技術者で得られる知識は幅広いけど、浅くなります。
基本情報技術者は希少性が高くないから
基本情報技術者はIT業界で働く人ならまず最初に取得する資格です。そのため、若手でも持っている人が多いです。
その上、コロナ前までは合格率が20%代で推移していましたが、コロナ禍、そしてコロナ明けの新制度により、さらに合格率は高くなってしまいました。
上記のことから、基本情報技術者の希少性は高くないし、今後よりメジャーになっていくでしょう。
基本情報技術者を取得するメリット
ここまで散々な言いようでしたが、基本情報技術者を取得するメリットは存分にあります。
広範囲な知識を習得できる
前述の通り、基本情報技術者試験で得られる知識は幅広く浅いです。
ポジティブに捉えれば、自分の担当外の分野も強制的に学ぶ必要があるため、今は担当外でも、ちょっとした所でその知識が生きることがあります。
例えば、担当外の領域の人と調整する時にも、全く知らないよりは調整がスムーズにいきます。
社内外で信用を得られる
IT系の企業であれば、基本情報技術者は登竜門的な試験です。受かればもう新米は卒業、もうちょっと難しいことやらせるか、となります。
また、官公庁系のお堅い仕事を受ける時は、資格有無や何人以上など細かな条件がある場合があります。社外の信用を得て仕事に繋げられる、という点でも資格はあった方が有利です。
一方、非IT系の企業であれば、情報システム部門に異動することも可能でしょう。デジタルに詳しい人として認知されるかもしれません。
私は地方公務員時代に基本情報技術者を取得し、次の異動で情報システム部門に異動できました。
基本情報技術者の受験をオススメしたい人
では、特にどのような人が基本情報技術者を受験したら良いでしょうか。
ITパスポートを取り立ての人
ITパスポート試験を取ったばかりの人は、その知識が忘れないうちに基本情報を受験すると、勉強時間の大幅な節約ができます。というのも、問題が被るものが多いからです。
ITパスポートより多少知識の幅が広く、深く必要な分野もありますが、0ベースで勉強するよりははるかに楽です。
非IT系でDX担当になった(またはなりたい)人
あらゆる産業で、デジタルトランスフォーメーション(DX)が求められています。そのため、各企業で自らDXを進めるべく、デジタル部門を設置するなどの取り組みが盛んになってきています。
IT人材が多くないような業界では、若手だから、調整が上手いから、等の理由でDX部門に入れられることもあるかと思います。
そのような方に、基本情報技術者試験は特におすすめです。
DXを推進するためには、IT企業等との協業を行ったりしなければなりません。その際、ITに関する知識がない場合には、いいように丸め込まれたり、足元見られることも少なくありません。
そうならないようにも、対等に話せる知識を身につけた方がよいでしょう。
また、実際に事業を進める上では、共通言語を持っていた方が、認識の齟齬なく、円滑に業務を遂行できます。
まとめ
基本情報技術者が意味ないと言われている理由は以下の3つでした。
- 基本情報技術者を持っていても実務能力の証明にならないから
- 基本情報技術者で得られる知識の幅が広く浅いから
- 基本情報技術者は希少性が高くないから
とはいえ、特に非IT系でDX担当になった方には受験をオススメしたい旨説明しました。
ITリテラシーの重要性がますます高まっていますので、非IT系の方でも目指してみてはいかがでしょうか。
コメント