公務員はワークバランスが優れていそうだけど休日は多いのかな?
今の職場は休日が少ないから、公務員に転職したら休日は増えるのかな?
公務員は休みが多いイメージを持っている方も多いかと思います。
就職や転職を検討する上で、休日が十分かどうかは重要な要素の一つですよね。
本記事では、公務員の年間休日日数を解説したいと思います。また、民間企業との比較や休暇制度についても触れていきます。
なお、地方公務員をメインに記載しますので、ご了承ください。
結論:公務員の年間休日日数は多い
公務員の年間休日日数が多いと考えられる理由は以下のとおりです。
- 基本的に土日祝日休みである
- 夏季休暇、年末年始休暇がある
- 有給休暇が年間20日付与される
そのため、公務員は年間約130日程度の休日があると考えて良いと思います。
それぞれ解説します。
基本的に土日祝日休み
公務員の休暇については、条例等で決まっており、基本的には土曜、日曜、国民の祝日はお休みです。
参考として、「横浜市一般職員の勤務時間に関する条例」を見てみましょう。
(勤務を要しない日及び勤務時間の割振り)
第3条 日曜日及び土曜日は、勤務を要しない日とする。
出典:横浜市一般職職員の勤務時間に関する条例
(休日)
第5条 国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日(第3条第4項の規定に基づき、日曜日以外の日を日曜日に相当する勤務を要しない日(以下「日曜相当日」という。)と定められている職員にあっては、当該休日が日曜相当日に当たるときは、任命権者が定める日)並びに1月1日(日曜日に当たる場合に限る。)、1月2日(月曜日に当たる場合を除く。)、1月3日、12月29日、12月30日及び12月31日は、休日とする。
出典:横浜市一般職職員の勤務時間に関する条例
ただし、部署によっては土日祝日勤務もありえます。
例えば、図書館勤務はシフト制になっているところもあり、休日が一般的な職員と異なり、土日に勤務することもあります。
また、恒常的に土日祝日は休日の部署であっても、休日に行われる行事等に助っ人として呼ばれる場合もあります。
学校勤務の時は、事務職員も文化祭や体育祭に借りだされたりしていました。
そのため、必ずしも土日祝日勤務がないとはいえません。
とはいえ、土日祝日に勤務した場合は、平日に代休を取得することが可能です。
代休を取らせない、ということはまずないですので、休日日数としては、土日祝日休み相当と考えてよいでしょう。
夏季休暇、年末年始休暇がある
有給休暇以外に、夏季休暇、年末年始休暇があります。
夏季休暇は5日から8日程度
まず、夏季休暇についてですが、これは自治体によって取得可能日数が変わります。
以下は千葉県内市町村の例ですが、5日から8日となっているようです。
市の方が町村よりも多い日数をもらえている傾向がわかりますね。
区分 | 8日 | 7日 | 6日 | 5日 | 計 |
---|---|---|---|---|---|
市 | 8 | 18 | 8 | 2 | 36 |
町村 | 0 | 3 | 3 | 11 | 17 |
計 | 8 | 21 | 11 | 13 | 53 |
出典:千葉県 平成30年市町村職員の勤務条件等の状況
また取得期間は6月1日から9月30日までとなっていることが多いです。
再度、横浜市の例を見てみましょう。
第4条(9)当該休暇年度において6月1日から9月30日までの期間内における5日
出典:横浜市一般職職員の休暇に関する規則
なお、公務員にはお盆休みはありませんが、夏季取得期間であれば、任意のタイミングで連続または分散して取得可能です。
とはいえ、同じ部署の職員が好き勝手取得すると業務が回らなくなるので、夏季休暇等の連休が始まる前に、部署内で取得日を調整することは経験上どの部署でもありました。
9月のシルバーウィークと合わせて取る人もいましたので、部署次第ではかなり使い勝手のいい制度だと思います。
年末年始休暇は6日程度
公務員の年度納めは12月28日、年度初めは1月4日が基本です。
そのため、12月29日〜1月3日の6日間は年末年始休暇となります。
年度納めの12月28日と年度初めの1月4日は関連部署等に挨拶回りをすることが多く、特に本庁勤務であれば、出勤する方が多いです。
とはいえ、部署によっては年休を繋げてさらに休む人もいましたので、事前に調整しておけば、年休と合わせてさらに長期間の休みとすることも可能でしょう。
IT系の部署だと、職員が一斉に休みになるこの期間にシステムリリースやメンテナンスに入ることがありました。
職員数が多い自治体ではシステムの与える影響は大きいので、障害発生時の切り戻し等も考慮して、まとまった休みにやむを得ず対応することがありましたね。
有給休暇(年休)が年間20日付与される
公務員の有給休暇は、時短勤務等を除き、基本年間20日付与されます。
付与される日は、1月1日と4月1日のケースがあります。
再び横浜市を例に挙げると、休暇年度は「4月1日から翌年3月31日まで」となっているため、4月1日に20日付与されるようです。
第3条 年次休暇は、1年について20日(地方公務員法第22条の4第1項に規定する短時間勤務の職を占める職員及び地方公務員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第110号)第10条第3項の規定により同条第1項に規定する育児短時間勤務の承認を受けた職員(同法第17条の規定による短時間勤務をすることとなった職員を含む。)にあっては、その者の勤務時間等を考慮し20日を超えない範囲内で人事委員会規則で定める日数)とする。
2 前項に規定する1年とは、4月1日から翌年3月31日まで(以下「休暇年度」という。)とする。
出典:横浜市一般職職員の休暇に関する条例
私のいた自治体は1月1日付与でしたので、12月に年休消化する人が多かったです。忘年会の次の日を休みにするとか。
なお、年度途中で入庁する場合には、残りの期間に応じて、日数が付与されます。
地方公務員の一般的な2024年度の年間休日日数は129日
ここまでの話を踏まえて、2024年度の休日日数を算出しました。
休暇種別 | 日数 |
---|---|
土日祝日 | 118日 |
夏季休暇 | 5日 |
年末年始休暇 | 6日 |
年休 | 20日 |
合計 | 129日 (+年休20日) |
自治体によって休暇日数に差が出る部分はありますが、一般的には130日程度の休日があるとみてよいでしょう。
さらに年間20日の年休を100%取得することができれば、年間約150日、40%が休みになります。
民間企業の休日日数との比較
では、公務員の年間休日日数は本当に多いのでしょうか。
以下の観点から比較してみましょう。
- 企業規模ごとの年間休日日数
- 企業規模ごとの年次有給休暇
- 地方公務員の年次有給休暇取得日数
- 企業規模ごとの特別休暇制度(夏季休暇)の有無
まずは企業規模ごとの年間休日日数ですが、厚生労働省の調査結果を見ると、以下の通りとなっています。
企業規模 | 〜109日 | 110〜119日 | 120〜129日 | 130日以上 | 1企業平均 年間休日総数 |
---|---|---|---|---|---|
1000人以上 | 26.1% | 22.1% | 51.0% | 0.9% | 115.5日 |
300~999人 | 32.9% | 20.3% | 45.0% | 1.9% | 114.1日 |
100~299人 | 43.3% | 21.9% | 34.1% | 0.6% | 109.2日 |
30~99人 | 52.0% | 20.2% | 26.9% | 1.0% | 105.3日 |
1000人以上の大企業でも、約半分が年間休日120日以下のようですね。規模が少なくなれば休日日数も少なくなっていく傾向があります。
これを踏まえると、地方公務員の130日程度というのは多いと言えるでしょう。
次に、企業規模ごとの年次有給休暇ですが、こちらも企業規模が大きいほど、付与日数も労働者の取得率も高くなっていることがわかります。
企業規模 | 労働者1人 平均付与日数 | 労働者1人 平均取得日数 | 労働者1人 平均取得率 |
---|---|---|---|
1000人以上 | 18.5日 | 11.7日 | 63.2% |
300~999人 | 17.8日 | 10.2日 | 57.5% |
100~299人 | 17.1日 | 9.5日 | 55.3% |
30~99人 | 16.7日 | 8.9日 | 53.5% |
一方、地方公務員の年休平均取得日数は、総務省の調査によれば、全体で12.3日となっており、1000人以上の大企業と同等以上の取得日数となります。
区分 | 平均取得日数 |
---|---|
都道府県 | 13.0日 |
指定都市 | 14.2日 |
市町村 | 11.5日 |
全体 | 12.3日 |
なお、企業規模が大きいほど年休取得日数も高くなりますが、この傾向は地方公務員も同様のようですね。職員数が多い指定都市や都道府県の方が、取得日数は多くなっています。
最後に、特別休暇制度についてみていきます。
公務員には夏季休暇と年末年始休暇があるとお伝えしましたが、民間企業ではそもそも夏季休暇等の特別休暇制度がないところもそれなりにあるようです。
そのような企業では、特別休暇ではなく、年休で休まなければいけないことから、その分取得可能な休日日数も少なくなると考えられます。
企業規模 | 特別休暇制度あり | 夏季休暇 |
---|---|---|
1000人以上 | 72.3% | 35.7% |
300~999人 | 66.8% | 40.1% |
100~299人 | 61.1% | 37.5% |
30~99人 | 57.0% | 43.0% |
大企業でも夏季休暇が意外と少ないのは驚きですね。
以上、民間企業と比較しても、公務員の年間休日日数は多いと言わざるを得ないでしょう。
まとめ
今まで見てきたように、地方公務員の年間休日日数は多いといえます。
その理由は以下のとおりです。
- 基本的に土日祝日休みである
- 夏季休暇、年末年始休暇がある
- 有給休暇が年間20日付与される
ワークライフバランスを考えると、公務員は有力な選択肢の一つになるでしょう。
本記事が就職活動、転職活動の参考となれば幸いです。
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