「公務員を辞めるなんてもったいない」
公務員を辞めたいと思っても、周囲からはこう言われるでしょう。
しかしながら、公務員の実態は厳しい部分もあり、辞めたいと考えている人も多くいるでしょう。一方で、辞めたいと思ってもなかなか次のステップに進めない人もいるのではないかと思います。
本記事で紹介する書籍「公務員、辞めたらどうする?」では、公務員の厳しい仕事環境を説明した上で、公務員から民間企業への転職方法を、多数の事例をもとに、説明していきます。
価格:680円 |
本ブログの開設にあたり、再度読み直してみましたので、レビューを書きたいと思います。
公務員からの転職に興味がある方はぜひ読んでみてください。
著者について
著者の山本直治さんは中央大学法学部から同大学法学研究科修了→国家公務員1種から旧文部省で6年勤めた後、人材コンサルタントになられた方です。
私が転職を検討してた頃によく見ていた、日本初の公務員向け転職支援情報サイト「役人廃業.com」を主催した方のようです。
なお、「役人廃業.com」は現在「公務員プラス」というサイトに統合され、別の方が運営しているようですね。
こちらのサイトも、公務員から転職した方の事例がたくさん載っているため、転職に向けたイメージづくりには参考になるかと思います。
「公務員、辞めたらどうする?」の概要
本書は2007年に出版された若干古い本になりますが、私が公務員からの転職を検討した2020年頃でも参考になる部分がありました。
文書の構成として、前半部分は公務員の実態について解説しています。
特に、2000年代前半からすでに若手職員の流出が問題になっていたことや、公務員特有の仕事の進め方について説明しており、公務員の仕事が世間で言う「残業なし」のホワイト職場のイメージとかけ離れている過酷な状況を書いています。
中盤は筆者の民間転職体験談や、筆者が独自に取材した元公務員の体験談、そして公務員からの転職ノウハウが記載されています。
後半は、天下り問題や官民の人材流動化の促進案など、公務員の将来像について、提案しています。
読後の感想
公務の性質から考えれば当然ではありますが、前半部分の公務員の実態については現在でもさほど状況は変わっておらず、退職を検討する理由についても、現在のそれと乖離がないように思いました。
具体的には、以下のような内容です。
まずよく出てくるのが、社会や人の役に立ちたいという思いで公務員になったのに、国民の顔が見えず、本当に社会の役に立っているのかよくわからない仕事で幻滅した、という悩みだ。
公務員、辞めたらどうする?
役所仕事がルーチンワークで創造性に欠け、単調な作業の繰り返しがつらいという不満もよく聞かれる。
公務員、辞めたらどうする?
公務員は公権力を行使する立場上、さまざまな判断において公平・中立性を保たなければならない。
・・・中略・・・
目の前に困った人がいても、平等ルールに反する特別扱いになる場合は、よかれと思って手を差し伸べてはいけないことも出てくる。その結果、人間味のない対応だという批判を浴びることもあるのだ。
公務員、辞めたらどうする?
中盤の転職者の声では、50人のインタビューをもとに書かれたようで、単なる民間企業への転職事例だけでなく、「海外転出型」や「一芸一能型」、「超難関資格型」、「その他資格の開業型」など、ある程度網羅的にカテゴリー分けして事例が書かれています。
その上で、人材コンサルタントの経歴を持つ筆者から、公務員から民間転職に特化したアプローチ方法を(どういった業界を目指すか、職務経歴書はなんて書くかなど)具体的に説明しています。
公務員から退職を考えている人にとっては、どのような行き先が考えられるか、またどういうステップを踏めば、転職ができそうか、といったイメージを持つための材料になると思いました。
さらにいえば、転職するための家族の説得方法なども書かれており、まさに公務員に特化した内容と言えると思います。
とはいえ、筆者が国家公務員1種という経歴であることや、紹介事例がポジティブな転職により過ぎているところから、地方公務員や後ろ向きな転職活動には活かしづらい印象です。
民間転職時の失敗事例や、失敗した後再度転職して成功した事例などがあれば、より公平な内容となったのではないかと。
まとめ:公務員の転職を後押ししてくれる1冊
確かに、新書であるが故に若干内容が薄かったり、事例が偏っているような気がしなくもありません。
しかしながら、公務員からの転職に特化した本はあまりありませんので、そういった意味では公務員から転職を考えている方は一読をオススメします。
転職の一歩を踏み出すイメージづくりにはなるかと思います。
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